TOP 投資豆知識 空地・空家は社会的問題|増加する背景や具体例、対策について解説

空地・空家は社会的問題|増加する背景や具体例、対策について解説

掲載日 : 2023年1月19日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
人口減少や少子高齢化などの社会的影響により、空地・空家が増加しています。
空地・空家が多い地域では、防犯が疎かになって治安が悪くなったり、景観が損なわれたりする問題が発生しています。なかには近隣住民が迷惑を被るなど地域の問題となっています。
今回は空地・空家問題の概要や具体例を解説します。空地・空家の活用方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

・所有している空地・空家の広さや地域の需要を見極めて売却するのか活用するのか判断が必要

・所有者としての責任を果たすため、また近隣住民のためにも定期的に空家を確認し、適正な管理を行うことが大切

空地・空家問題の概要

全国の空家戸数は836万戸あり、空家率は13.6%にのぼります。空地の面積は1,364平方kmで、10年間で約2倍に増加しました。
空家・空地の増加にともない、さまざまなトラブルも頻発しています。老朽化による倒壊や景観の悪化、放火による火災など近隣住民に深刻な被害をもたらす可能性もあります。
こうした空地・空家の社会問題化を受けて、「空家等対策特別措置法」が施行されたのをはじめ、全国の自治体で空家条例も制定され、適切に管理されていない空家に対し、適切に管理するような指導や命令が行えるようになりました。

空地・空家が増える背景

戦後まもない1947年から1949年に第1次ベビーブームが起き、人口が急増しました。このときに生まれた世代は「団塊の世代」と呼ばれ、彼らの就職や進学をきっかけに都市部へ移る人が多かったため、都市の過密化が急速に進行します。
ときは高度経済成長期で、「都市部にマイホームを持ちたい」というブームに火がつき住宅需要に対応するため多くの住宅が集中的に建設されました。
団塊の世代も高齢者となった現代、建てられすぎた住宅の需要はだぶつき、空家が増える事態となりました。また地方でも、団塊の世代が巣立った後の親世代の住まいが空家として放置される事態になっているのです。

空地・空家問題の具体例

空地・空家を放置すると、さまざまな問題が発生します。
以下で具体例を6つ紹介します。

倒壊しそうな建物が危険を及ぼす

日本の家は木で造られているケースも多く、定期的な換気や適切な管理されていない建物は、劣化が早まります。
一般的に空家は古いものが多く、とくに耐震基準の改正前の1981年以前に建てられた建物は、耐震性が大きく不足している可能性もあるでしょう。
建物が倒壊し、隣家に被害を及ぼしたなどの実例もあります。
建物だけでなく外壁が剥がれ落ちたり、ブロック塀が倒れたりして通行人や車両に被害を及ぼすケースも考えられます。

庭木や雑草が繁茂し近隣に迷惑をかける

放置された空地・空家では、庭木の枝が伸び放題となり雑草が生い茂ります。
定期的に手入れしなければ、蚊や蜂などの害虫が繁殖したり、雑草の種子が近隣に飛び散ったりして近隣住民に迷惑をかけてしまうのです。
手入れされていない空地・空家は動物の棲家になりやすく、糞尿による悪臭が発生することも考えられます。

不審者のねぐらや不良グループのたまり場となる

空家は、不審者が侵入しそのまま寝泊まりする可能性があります。
玄関のドアは施錠していても、不審者が家に誰も住んでいないと判断すれば、窓ガラスを割って侵入されるケースもあるでしょう。
不審者が空家に出入りするようになると、犯罪が増え治安が悪化しやすくなります。
不審者だけでなく、不良グループのたまり場となることも考えられ、教育上の問題にもつながるでしょう。

放火の危険が高い

空家は人の目につきづらく、誰も管理していないため、放火されやすい状況です。
燃えやすい草や紙ゴミが放置されているため、放火されると延焼する恐れがあり近所住民にも迷惑をかけます。
消防庁によると、出火原因の上位に放火があります。放火犯にとっては、空地・空家が狙いやすい状況にあるのは確かでしょう。

ゴミを投棄され近隣に迷惑がかかる

空地・空家にゴミを捨てても所有者に見つからないため、ゴミ捨て場となりやすく不法投棄の原因にもなります。
ゴミが溜まると異臭が発生し、不衛生となって近隣住民の健康に悪影響を与えてしまうこともあるでしょう。

景観が悪化し近隣不動産価格が下落しやすい

空家・空地は建物が老朽化し、雑草が伸びるなどして、景観が悪化します。
景観が悪化した空家・空地があると、近隣の不動産価格は下落しやすくなります。
新しく家を借りようと下見に行き、家の近くに景観の悪い空家・空地があると住みたいと思われなくなるためです。
買い手・借り手がつかない家や土地は、価格を落とす必要があり、近隣の不動産価格の下落を招くのです。

空地・空家から生じた損害は所有者が賠償義務を負う

空家・空地を放置すると近隣の住宅に被害を与えるケースもあります。
とくに倒壊しそうな建物があると、台風で屋根が飛んだり庭の樹木が倒れたりする自然災害が年々増加傾向にあります。
空地・空家から生じた損害は、「土地工作物責任(※)」のもとに、所有者が賠償義務を負います。相続した空家によってもたらされた被害の修繕費用などを支払わなくてはなりません。

※民法第717条にて定められている土地工作物責任とは、家屋など敷地の工作物の安全管理が行き届いておらず、それによって第三者に損害を与えた場合に工作物の占有者が賠償責任を負う責任を指します。

空地・空家の放置に関する法律や条例

空地・空家の社会的問題に対応するため、2014年には「空家等対策特別措置法」が制定されました。
また、地方自治体も空地・空家対策の条例を制定するなど、対応が進んでいます。
それぞれの内容を解説します。

空家等対策特別措置法とは

放置される空家が問題視され、2014年11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家等対策特別措置法)が成立しました。
空家等対策特別措置法では、次の内容が定められています。

・実態調査
・所有者へ適切な管理の指導
・空地(空家跡地)についての活用促進
・「特定空家」への指定
・特定空家に対して助言・指導・勧告・命令を出す
・特定空家に対して罰金を課す
・行政代執行を行える

「特定空家」に指定された場合

空家は所有者自身が適正管理する義務があり、問題があれば改善する必要があります。
「空家等対策特別措置法」は、所有者の義務である空家の適正管理をしない所有者に対して、特定空家として指定できます。
特定空家に指定された後の流れをまとめてみました。

1.助言・指導⋅⋅⋅特定空家に指定されると状況改善の助言や指導が通達される
2.勧告⋅⋅⋅1に従わない場合は勧告され、住宅用地特例から除外され、固定資産税が最大6倍となる
3.命令⋅⋅⋅2に従わない場合は命令が下され、命令違反の場合は50万円以下の罰金が課される

原因を改善すると特定空家から解除されるので、もし指定された場合は早めの対応が必要です。

地方自治体も空地・空家対策の条例を制定

空家問題が深刻化し、景観を損なう可能性があるため、地方自治体も空地・空家対策の条例を制定しています。
条例には次の内容が定められています。

・勧告
・命令
・公表
・罰則
・行政代執行

市区町村によって条例の内容が異なるため、詳しくは NPO法人空家・空地・管理センターで確認してください。

空家等対策特別措置法対策で求められる空地・空家の適正管理

所有している土地や家は、責任をもって適正に管理する必要があります。
空地・空家の適正管理とは、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないことです。
空地・空家の適正管理の例として以下のものが挙げられます。

・建物の老朽化の対処
・庭木や雑草の手入れ
・確実な施錠
・放火されやすいものの処理
・放棄されたゴミの撤去
・害虫・害獣駆除

空家となった住宅を適切に管理せず、特定空地に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が受けられない可能性もあります。
所有者としての責任を果たすため、また近隣住民のためにも定期的に空家を確認し、適正な管理を行いましょう。

空地・空家を活用する方法

空地・空家は手間やコストがかかるものと考えられるかもしれません。しかし、上手に活用すれば収益を生み出せる可能性もあります。
ここからは空地・空家の代表的な活用方法を紹介します。

売却する

空地・空家管理の手間から開放されたい方は売却を検討しましょう。
空地・空家の管理する手間が省け、その後は固定資産税を納める必要もありません。
ただ、建物の状況に応じて適切な売却方法は異なります。不動産会社など専門知識をもったプロに相談しましょう。

賃貸住宅を建てる

賃貸住宅を建てて家賃収入を得るのは、代表的な土地活用の方法です。
賃貸住宅を経営する手間はかかりますが、減価償却費や青色申告特別控除など各種費用を計上して所得を下げると税金を減らせます。
一方、空室になると賃料収入が得られなくなるため、ハウスメーカーなどに相談し、所有している家が賃貸住宅として需要があるかを調べてみましょう。

駐車場を経営する

駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングの2種類の運営方法があります。
月極駐車場は特別な設備を用意せずにはじめられるのが特徴です。イニシャルコストを抑えて安定した収益が期待できます。
コインパーキングは精算機やロック板などの設備は必要ですが、駐車ニーズのある土地であれば月極駐車場よりも高い収益を得られるでしょう。
住宅街で周辺に駐車場が不足しているようなら、駐車場を開業するメリットはあるはずです。

太陽光発電を設置する

広くて日当たりのいい土地なら、太陽光発電を設置する手もあります。
太陽光は二酸化炭素を排出しないため環境負荷をかけずに発電できます。
メガソーラーばかりでなく、空地で小規模な太陽光発電所も作れます。
太陽光発電の設置運営企業に土地を定期借地で賃貸するだけで、運営はすべて企業が行うのが一般的です。所有者の負担はなく賃貸料を得られるため、手軽に不労所得を得られるでしょう。

コインランドリーを経営する

コインランドリー市場はふとんやスニーカーなど自宅では洗濯が難しいものを洗いたいというニーズの増加によって成長しています。
初期投資として洗濯機や乾燥機を導入すれば無人で経営できるため、比較的手軽に管理しながら長期的な収入が得られます。
自力で開店準備するのが不安な方はフランチャイズ契約する選択肢もあるため、検討してください。
コインランドリー経営について詳細な情報が知りたい方は、 こちらの記事をあわせてご覧ください。

まとめ

空地・空家があると発生する問題の具体例や対策方法を紹介しました。所有している空地・空家の広さや地域の需要を見極めて売却するのか活用するのか判断しましょう。
コインランドリーの経営は初期費用が比較的少なく始められるため、今回紹介した活用方法のなかでも成功しやすい事例だと言えます。
大型コインランドリー機器トップシェアのTOSEIでは、コインランドリー開業のためのサポートを行っています。高利回りや集客成功のポイントなど、定期的に無料セミナーを開催していますので、まずは一度ご参加ください。

※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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