TOP 投資豆知識 不動産投資における減価償却とは?仕組みや節税の効果、注意点まで解説

不動産投資における減価償却とは?
仕組みや節税の効果、注意点まで解説

掲載日 : 2023年1月19日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
不動産投資で成果を出すためには、減価償却を行い節税効果を高めることが重要です。減価償却を行う際には、投資する不動産の種類や条件によって算出方法が異なります。
今回は、不動産投資における減価償却の概要や注意点を解説します。効果的に節税を行い、利益を上げるために役立ててください。

この記事でわかること

・不動産投資では、減価償却を適切に行うことで節税が期待できる

・店舗物件の場合も法定耐用年数にしたがって、減価償却を行う必要がある

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の購入金額を法定耐用年数に応じて配分し経費化することです。その年に相当する分の金額を、確定申告で経費計上します。
減価償却の対象となるのは、使用年数の経過によって資産価値が減少するものです。建物や車両、機械などが該当します。これらの対象資産のことを、減価償却資産といいます。

減価償却できる期間

減価償却資産を購入した場合は、資産価値がなくなるまでの年数で分割して取得費用を経費計上できます。
減価償却できるのは使用可能期間の全期間で、国税庁が法定耐用年数を定めています。
確定申告時の計算も、法定耐用年数に基づいて行われます。

減価償却資産の対象

複数年にわたって使用できる資産でも購入費が10万円未満であれば、減価償却の対象には該当しません。取得費用の全額を、その年の経費として計上しましょう。
10万円以上の資産は減価償却資産となりますが、不動産投資の場合は建物に関わる部分のみが対象です。建物の購入費や付属設備費が該当します。
土地は時間の経過によって劣化しないため、減価償却の対象外となります。

不動産投資における減価償却の仕組み

不動産投資の減価償却費は、建物の価格・法定耐用年数・築年数によって決まります。法定耐用年数は、建物の構造によって定められています。
国税庁が定めている建物(住宅用)の耐用年数は、以下の通りです。

構造・用途(住宅用) 耐用年数
木造・合成樹脂造 22年
木骨モルタル造 20年
鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造 47年
れんが・石・ブロック造 38年
金属造 骨格材の厚みが4㎜超 34年
骨格材の厚みが3㎜超、4㎜以下 27年
骨格材の厚みが3㎜以下 19年

建物の構造によって耐用年数に差があるため、鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションを購入した場合は、47年間にわたり減価償却を行えます。
建物付属設備の場合は種類によって異なりますが、おおむね15年程度の耐用年数が設定されています。

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法は「定額法」と「定率法」の2種類です。さらに、不動産物件を中古で購入した場合は「簡便法」を使用します。
それぞれの計算方法を解説します。
建物以外の耐用年数が知りたい場合は、国税庁ホームページ内の 【確定申告書等作成コーナー】-耐用年数表をご覧ください。

定額法による計算

定額法は、毎年同じ額を減価償却費として経費計上する方法です。法定耐用年数に基づいて経費を計上する方法であり、不動産投資では主に定額法を使用します。
定額法で減価償却費を算出する計算式は、以下の通りです。

定額法の減価償却費=取得価額×定額法償却率

定額法償却率は、耐用年数に応じて区分されます。国税庁のWebサイトに記載されている 減価償却資産の償却率表を参考にしてください。

定率法による計算

すでに必要経費として計上した分を差し引いた金額(未償却残高)に、償却率を掛けて計算するのが定率法です。
資産取得時の価格から減価償却された累計額を差し引き、償却率を掛けて算出します。そのため経過年数が長くなるごとに、減価償却費が減少していきます。
定率法の減価償却費を算出する計算式は、以下の通りです。

定率法の減価償却費=(取得価額-これまでに償却した金額)×定率法償却率

建物に付属する設備は、定率法で計算できます。しかし平成10年4月1日以後に取得した建物の場合は、定率法では計算できないため注意が必要です。

簡便法による計算

不動産を中古で購入した場合に用いる耐用年数の計算方法を、簡便法といいます。
中古物件は使用開始してから時間が経っているため、新築物件と同じ耐用年数で計算するのは不適切です。その対策のために、簡便法が考案されました。
簡便法で耐用年数を算出する方法は、実際の築年数をもとに以下の2つに分かれます。

法定耐用年数以内の場合 耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×20%
法定耐用年数以上の場合 耐用年数=法定耐用年数×20%

経過年数に合う方法を用いて計算しましょう。

不動産投資で減価償却が節税に有効な理由

不動産投資の減価償却では、実際の支出が伴わなくとも経費計上できるなど節税面でのメリットがあります。
減価償却が、節税に有効な理由を3つ解説します。

実際の支出を伴わない

不動産投資に関わらず、減価償却費は実際の支出を伴わなくとも経費計上できるのが特徴です。
一般的に経費と聞いて思い浮かぶのは、接待や物品の購入で発生した費用を計上する方法です。実際に支払った金額を経費として計上し、利益につなげます。
一方、不動産などの減価償却資産は一括で経費計上せず、定められた年数分を継続的に経費計上します。そのため経費計上しながらも、実際の支出を伴わない状態が発生するのです。
減価償却を正しく行うことで税金が減り、手残りを増やせる点がメリットです。

損益通算で個人の所得を圧縮できる

所得に赤字が発生した場合に、ほかの所得の黒字(利益)と相殺することを損益通算といいます。損益通算によって、不動産所得の赤字と給与所得などとの相殺が可能です。
不動産投資のように減価償却費が大きいほど、会計上の赤字額も大きくなります。不動産投資の赤字を差し引いて給与所得を圧縮できるため、節税効果が高くなるのです。
不動産所得の損失は損益通算できますが、一部例外もあります。土地を取得する際に、銀行から融資を受けた分の返済利子は対象外です。土地にかかる返済利子は、不動産経費に含まれないため注意しましょう。

減価償却費で赤字になっても融資は受けられる

「減価償却によって赤字が多く出ると銀行からの評価が下がって、融資が受けられなくなるのでは?」と心配している方もいるでしょう。しかし、赤字が多い状態でも金融機関からの評価が下がる心配はありません。
銀行が評価する利益は減価償却前のキャッシュフローであり、融資を返済する能力を重視しているためです。帳簿上の赤字は融資に影響が少ないと考えられるため、むやみに恐れなくともよいでしょう。
減価償却費は、あくまでも会計上で費用計上しているだけであり、実際の手残り金額にも影響はありません。

減価償却で大きな節税効果を得るためのポイント

不動産投資で大きな節税効果をあげられる要素は、以下の4点です。

・木造建物
・築古物件
・高年収
・長期譲渡所得

それぞれ詳しく解説します。

木造建物

居住用木造建物の法定耐用年数は33年です。木造モルタルは30年、鉄骨造(3mm以下)は28年と定められており、木造に比べて法定耐用年数が短くなっています。
木造建物は法定耐用年数が長いぶん減価償却費が大きくなるため、節税効果が高いです。

築古物件

築年数が古い建物ほど、法定耐用年数が短くなります。すでに耐用年数を超過している中古物件の場合は、最短4年で全額償却できます。
築古物件は償却期間が短いぶん、1年当たりの減価償却費を高く計上できるのです。会計上の赤字を計上すれば利益を大きく圧縮できるため、節税につながります。

高年収

不動産投資は、物件保有時の所得税率・住民税率と物件売却時の譲渡税率の差異を利用して行います。年収が高いほど所得税や住民税が高いため、節税効果が高いと言えるでしょう。
また勤続年数や勤務先の安定度などの要素が、不動産投資の融資審査に必要です。不動産投資は、高収入の方に向いている投資法かもしれません。

長期譲渡所得

資産を売却したときに発生する譲渡所得には、2つの区分があります。譲渡した年の1月1日時点での所有期間が5年超の「長期譲渡所得」と、5年未満の「短期譲渡所得」です。
売却する不動産の所有期間が長期か短期かによって、所得税や住民税の税率が違います。所得税・住民税のどちらも長期譲渡所得のほうが税率が低いため、節税効果が高くなります。

減価償却で節税する際の注意点

不動産投資で減価償却を行うと、節税効果が高くなるメリットがあります。ただし、デメリットがないわけではありません。
デメリットもあると理解して、注意すべきポイントをおさえることが大切です。

デッドクロス

物件の売却を考えている場合は、デッドクロスが発生する前に行いましょう。
デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回っている状態を指します。帳簿上は利益が出ているのにも関わらず、資金繰りが悪化している状態です。
築古物件の場合は初期に減価償却費の割合が大きく、短期間で減価償却が終わります。そのため、減価償却後にデッドクロスに陥りやすいというリスクがあります。
デッドクロスを回避するには、減価償却期間が終了したら売却するのが有効です。新築や築浅の物件を選び、減価償却期間を長く取る方法もあります。

譲渡税が大きくなる

不動産投資で減価償却を行うと、売却時にかかる譲渡税の額が大きくなる可能性があります。
減価償却を行うたびに、物件の会計上の価値である簿価が減るためです。建物の売却価格と最終的な簿価の差額が売却益となり、譲渡所得税がかけられます。
物件を売却するまでに譲渡所得税額以上の節税効果を得られない場合は、多額の譲渡税を払うため大きな損失となります。

まとめ

本記事では、不動産投資における減価償却の仕組みや節税効果、注意点を解説しました。不動産投資では、減価償却を適切に行うことで節税が期待できます。
住宅用以外に、コインランドリーなどの店舗物件を扱う不動産投資もあります。店舗物件の場合も法定耐用年数にしたがって、減価償却を行わなくてはなりません。
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※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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