TOP 投資豆知識 不動産投資で法人化するメリット・デメリット|タイミングや注意点なども解説

不動産投資で法人化するメリット・デメリット|タイミングや注意点なども解説

掲載日 : 2023年1月19日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
以前より不動産投資がはじめやすくなり、個人で賃貸業や不動産の売買業を営んでいるケースが多くなりました。収入が増えて法人化を視野に入れている方もいるのではないでしょうか。
ただし「どのくらいの収益があれば法人化すべき」なのか、「法人化するとどんなデメリットがあるのか」など分からないことも多いはずです。
今回は不動産投資の法人化の概要や、メリット・デメリット、法人化する判断基準について解説します。法人化に迷っている方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

・近年ではサラリーマンなど個人が不動産投資を行う際の税金対策として注目されている

・法人は個人と比較して経費に組み込める支出の範囲が広くなり、課税所得を低く抑えやすい特徴がある

・一定以上の所得がある場合は、法人のほうが所得税率が下がるなどのメリットがあるため法人化のタイミングは重要

不動産投資における法人化とは

不動産投資における法人化とは、投資家が株式会社などの資産管理会社を設立し法人として不動産投資をすることです。投資家は法人の代表として資本金を支出し、法人が物件を購入・保有・管理します。法人からの役員報酬が投資家の収入となります。
これまで法人化は、一部の富裕層の税金対策として考えられてきましたが、近年ではサラリーマンなど個人が不動産投資を行う際の税金対策として注目されています。

個人投資家・副業との違い

個人投資家として、またサラリーマン勤務をしながら副業としても不動産投資を行えます。ただし、法人化するとより大きな節税効果が期待できます。
法人は個人と比較して経費に組み込める支出の範囲が広くなり、課税所得を低く抑えやすい特徴があります。法人化すると個人ではできない所得分散が可能になり、給与は経費として認められます。
また課せられる税金の種類も違い、最高税率が個人の所得税より低く抑えられます。

法人化するメリット

個人事業主と比べた際の法人化するメリットを紹介します。個人との違いなどを参考にしてください。

法人のほうが節税しやすい

個人と比べると法人は高い節税効果が期待できます。個人の場合は収入が増えれば税率も上がる累進課税で、所得税と住民税を合わせた税率は最大55%です。
法人の場合、法人税の実行税率は20~30%台と個人に比べて税率を低くできます。また平成31年10月から地方法人特別税率が廃止され、所得に対して43.2%課税されていた分がなくなり減税されました。
法人は経費として計上できる範囲が広くなり、生命保険料なども全額算入できます。また働いている実績がある家族への給与も計上が可能です。個人事業主でも家族への給与を計上する制度はありますが、専従が必要など多くの制約があります。

融資が受けやすい

法人は個人と比べて社会的信用が高いため融資が受けやすい傾向にあります。会社の情報が公示されていることや厳密な会計処理が求められていることから、経営状況が悪かったり金融機関からの信頼を損ねていたりしなければ、融資の審査にとおりやすくなり融資上限額も大きくなるでしょう。
また法律上「人」として扱われることもメリットです。「人」といっても法人の場合は寿命がないため、死亡や相続に関することを金融機関側が考慮しなくてもよくなります。

資金調達の方法が増える

法人は資金調達方法が増えます。株式を増資することで資金を集めたり、融資・補助金・助成金に加え投資型のクラウドファンディングでの調達をしたりと、選択肢が広がります。
非上場の株式に投資する投資型クラウドファンディングは株式会社でなければ利用できないため注意が必要です。

繰越損失の期間の延長

繰越損失とは、収支が赤字になった場合でも翌年度以降に損失を繰り越すことができる制度です。
個人事業主は青色申告者をすれば最大3年間繰越ができますが、法人なら最大10年間繰越損失が可能なため大きなメリットです。
ただし青色申告以外で申告する白色申告者の場合は、損失を繰り越せないため注意が必要です。

決算月を法人で決められる

決算月を決定できることも法人化のメリットです。個人事業主は12月までを区切りに確定申告を行うと決まっていますが、法人は好きな月を決算月に定められます。また決算月から2か月後までが申告と納税の期限となります。
法人は最初の2期は消費税を納税しなくてもよいため、この効果を最大限に得られる決算月を決められます。たとえば収支の良い月を期首にすれば計画的な節税対策が可能です。
ただし繁忙期を決算月にすることはおすすめしません。申告期限が過ぎた場合、延滞税が課せられるリスクがあるためです。

法人化するデメリット

法人化には多くのメリットがありますが、個人事業と比べた場合のデメリットもあります。具体的な内容を3つ紹介します。

法人設立手続きと費用が必要

法人を設立する際はさまざまな手続きと費用が必要です。個人開業は税務署に開業届を提出するだけですが、法人の設立は書類の作成や印鑑作成など複雑で手間がかかるため手続きには最低でも1週間ほど必要です。
株式会社の登記費用は約25万円ほどで、司法書士に手続きを依頼した場合は追加で費用が必要です。また株式会社設立は資本金の金額×0.7%の登録免許税を収めるため、個人と比べた際にさらにコストがかかります。

維持費用が必要

法人は個人と比べて税務処理や会計処理が複雑です。多くの場合は税理士に記帳代行・申告代行・顧問契約などを依頼するため維持費が必要です。
顧問契約料は年商によって異なりますが、不動産投資で赤字になった際でも費用が発生するため、固定費が増えることになります。

長期譲渡所得の優遇税制の対象外になる

長期譲渡所得とは、土地や建物などを売った際の利益のことです。個人であれば分離課税として取得から5年以内の売却は39%、5年を超える物件の売却は20%の税率がかかります。
法人は期間の長短に関係なく一律の税率が適用されます。実効税率は約23%となり、5年以上の長期間所有した不動産を売った場合でも税率は変わりません。
所有5年を超える物件の売却時は、個人と比べて税率が高くなります。

法人化する際の手順

開業届を出すだけの個人開業に対して、法人の場合は手続きが複雑なため司法書士に任せるのが一般的です。法人化の手続きに必要な内容と日数は以下のとおりです。

・会社設立準備:4日程度
・定款の作成と認証:2日程度
・登記書類を作成し登記する:10日程度
・開業届を税務署に提出:1日程度

会社設立には合計17日程度が必要な計算です。
定款の作成と認証、登記書類の作成と登記は司法書士が行い、会社設立準備と開業届の税務署への提出は設立者が行います。
司法書士へ手続きを依頼する場合は、約20万〜30万円ほど費用が必要です。

不動産投資で法人化するタイミングや判断基準

不動産投資で法人化するタイミングや判断基準を解説します。損をしない適切なタイミングを見極めるためにも参考にしてください。

個人よりも税額が低くなるタイミング

個人よりも税率が低くなるタイミングで法人化します。課税所得が900万円を超えたところで法人化すると税率を軽減できます。
課税所得900万円のとき個人の税率は33%、法人税率は23.2%と法人のほうが個人よりも税率が低くなります。税率が逆転するタイミングが、法人化の目安になります。

不動産投資の開始から法人化

不動産投資の開始から法人化するメリットもあります。法人化によって期待できる節税効果を考えると、設立費用はあとからすぐ回収できる可能性があるからです。
また途中から法人化する場合は、個人所有の物件を法人へ売却する形をとる必要があります。その際、新たに不動産取得税と登記費用が必要になるため、購入時点で法人化しておくことで二重にかかる費用を抑えられます。

法人化する際の注意点

法人化するメリット・デメリットを紹介しましたが、ほかにも注意するポイントを3つ解説します。

所得の分散には注意が必要

法人の場合、個人の専従者給与よりも支払い金額を多くできるという意見がありますが、法人化して家族で所得を分散する際に認められる給与は年間36万円以上100万円未満が一般的です。
給与の妥当性は給与対象者の賃貸経営の業務量・能力・経験値によって判断され、最高裁の判例では「賃貸経営に不慣れな者に年間100万円の給与を支払うのは妥当ではない」とされています。
妥当性のある給与を支払うようにしましょう。

法人のお金は自由に使えない

法人を設立した場合、個人事業主と違い収入を自由に使えなくなります。法人の場合は経費を引いた家賃収入は剰余金となるため、勝手に個人の口座に移動するなどは認められません。
あくまでも余剰金から決められた給与を支出する仕組みのため、個人経営の感覚で法人の剰余金を使うことは業務上横領と判断される場合もあり注意が必要です。

副業にあたるかを確認

不動産投資の法人化は勤務先企業の判断によっては副業にあたる可能性があります。
法人化した会社から役員報酬を受け取る場合は、副業とみなされる可能性は高いでしょう。給与を受け取ることが就労規則に違反する場合は、事業主を家族にして、自身は給与を受け取らず株主になる選択肢もあります。
会社に勤めている場合は、不動産投資と法人化の2点が副業にあたるのかを確認しましょう。

まとめ

不動産投資で法人化する際のメリット・デメリット、タイミングや注意点などを解説しました。一定以上の所得がある場合は、法人のほうが所得税率が下がるなどのメリットがあるため法人化のタイミングは重要です。
不動産投資をこれから始めたい方には、賃貸や売買のほかに土地活用方法としてコインランドリー経営という選択肢もあります。
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※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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