TOP 投資豆知識 土地活用における利回りの計算方法とは?考え方や相場、注意点を解説

土地活用における利回りの計算方法とは?
考え方や相場、注意点を解説

掲載日 : 2023年1月19日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
土地活用を行う際は、どの程度の利回りが得られるか事前に把握することが大切です。利回りを適切に計算せずにビジネスを始めた場合、赤字になってしまう可能性があります。
今回は土地活用における利回りの定義や算出方法、相場、注意点などについて解説します。
すでに土地を所有している方で土地活用の利回りや収益の目安を知りたい場合など、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

・利回りは土地活用を始める際の大切な判断材料ですが、数値だけで判断することは危険

・土地活用ごとの相場を把握し、利回りの計算方法についても理解できるようにする

土地活用における利回り

まず土地活用における利回りの定義と、利回りと混同されやすい利率との違いについて解説します。

土地活用における利回りとは

土地活用の利回りとは、投資した金額に対するリターンを示すものです。一般的に利回りは1年単位で計算され、利回りが大きいほど初期費用(基本的に物件の購入価格+購入時の経費)を回収する期間が短くできます。
土地活用で収益を出すには、まず利回りを把握することが大切です。

利回りと利率の違い

利回りと利率はどちらも利益率を表す言葉ですが、使う対象が異なります。
利回りと利率の違いは以下のとおりです。

内容
利回り 不動産投資の運用による収益
利率 金融商品に対して設定される金利

土地活用での利益率を表す言葉としては「利回り」を使うのが適切です。

利回りの種類・計算方法

利回りの種類には、表面利回り、実質利回り、キャッシュフロー利回りの3種類があり、計算方法もそれぞれ異なります。
3つの利回りと計算方法を説明します。

表面利回りの計算方法

表面利回りとは、土地活用の間に発生するランニングコストを考慮しない利回りです。経費が考慮されないため、利回りは高く計算されます。概算の利回りを手軽に計算する参考の数値ととらえるのがよいでしょう。
年間収入の総額を投資額で割って算出します。

利回り種類 計算方法
表面利回り 年間収入 ÷ 初期費用 × 100

実質利回り(NOI利回り)の計算方法

実質利回りとは、NOI(Net Operating Income)とも呼ばれ、ランニングコストも考慮した利回りです。そのため、より現実に近い利回りが算出可能です。
土地活用の判断をする際は、実態に近い数値を算出できる実質利回りの確認が重要です。
実質利回りは、年間収入から年間経費を引いた純収益を投資額で割ることで算出できます。

利回り種類 計算方法
実質利回り(NOI利回り) (年間収入-経費)÷ 初期費用 × 100

キャッシュフロー利回りの計算方法

キャッシュフロー利回りとはランニングコストに加え、ローンや税金を考慮した利回りです。3種類の利回りの計算方法でもっともシビアな数値が出るため、課題を発見できるのが特徴です。しかし経費や返済額、税金を正確に把握するのは難しく、計算に労力がかかります。
計算方法は、年間収入から年間経費とローン返済額、税金を引いた金額を投資額で割ります。

利回り種類 計算方法
キャッシュフロー利回り (年間収入-経費-返済額-税金)÷ 初期費用 × 100

土地活用の利回りの種類・相場

主な土地活用の利回りの相場を5つ紹介します。一般的にリスクが高いほうがリターンも高くなる傾向にあります。
土地の条件やエリアによって差はありますが、目安として参考にしてください。

アパートやマンションなどの住居

アパートやマンション経営は土地活用でもっとも主流と言える投資方法で、実質利回りの相場は約3~8.5%です。ミドルリターンが確保できるでしょう。
家賃相場が高い地域で土地活用を行える場合は、8.5%以上のハイリターンを得られる可能性もあります。一方、空室になると賃料収入が得られなくなるため、居住ニーズが高い地域で経営するのが成功のコツと言えます。

商業テナント

コンビニや飲食店、美容院などの商業テナントは、賃料単価を高く設定できる傾向にあるため、実質利回りの相場は約10%です。ハイリターンを目指せますが、商業テナントは撤退や空室の可能性があるため、リスクも高いです。
周辺の競合となる店舗が多い場合も注意が必要です。地域のニーズをよく見極めて、成功確率の高いテナントを選ぶとよいでしょう。

介護福祉施設

介護福祉施設の実質利回りの相場は約5%で、ほかの土地活用と比較すると初期費用がかかる上にローリターンです。しかし、介護福祉施設は撤退の可能性が低く、長期的な収益を見込めるためリスクが低いとも言えるでしょう。
高齢者人口が増加していることから、今後は地方、都市部ともにニーズの増加が見込まれる事業です。

駐車場やトランクルーム

駐車場の実質利回りの相場は約18%で、トランクルームは約15%とハイリターンを目指せる活用方法です。設備にかかる費用がほかの不動産投資に比べて少ないため、収益が安定して発生すると言われますが、利用単価が低い場合に実際の利回りはもっと下がるという指摘もあります。
駐車場やトランクルームも土地の立地条件によって利回りは大きく異なります。地価を調べるとともに、近隣で営業している駐車場やトランクルームの利用料金を調べて、利回りを算出するとよいでしょう。

コインランドリー

コインランドリーの実質利回りの相場は約8~12%です。設備などにかかる初期費用はやや高額ですが、景気に左右されにくく一定の需要が見込まれるビジネスです。「都合のよいときにコインランドリーでまとめて洗濯をしたい」というニーズから、近年も店舗数は増加しています。
比較的狭い土地でも開業しやすく、店舗にスタッフが常駐する必要がありません。手間も人件費もかからないので、運営しやすいのも魅力です。

土地活用における利回りの注意点

土地活用における利回りは、ビジネスを検討する際の重要な判断材料ですが、利回りは条件によってさまざまに変動します。
ここでは利回りの変動要因について解説します。

入居率で利回りは変動する

不動産会社などから説明される利回りは入居率100%を想定した計画もあります。しかし、現実には空室リスクはつきもので、入居率100%は期待できる利回りの最大値を示したものに過ぎません。立地や環境によって、満室にならない場合もあります。

利回りが高いとリスクも高まる

利回りの高い土地活用方法が、適切とは限りません。初期費用を抑えれば、計算上は利回りは向上しますが、住居の設備や店舗の備品などのレベルを落とすときは注意が必要です。その分、顧客のサービスへの満足度が低下するため、想定より入居率や稼働率が低下するリスクがあるためです。

<利回りを重視しすぎてリスクが高まる例>
・初期費用を抑えるため立地の悪い物件を購入したが人気が出ない
・建物が老朽化しているのに修繕しない
・賃料の設定が高くコストパフォーマンスが悪いと判断される

利回りばかりを追求するのではなく、安定した収益をあげられるようにバランスをもって投資することが必要です。

利回りは時間とともに変動する

土地活用を実行する段階での数値をもとに利回りを算出しても、その後の環境の変化などで数値が変動することは珍しくありません。

<利回りが変化する主な例>
・入居率や稼働率の低下
・建物の老朽化による修繕費の増加など

修繕費をかけると、一時的に利回りは低下しますが、設備や内装が一新されて人気が高まる場合もあるため、長期的な運用計画が大切です。
店舗経営においても、思わぬブーム到来など外的な要因で稼働率が上がる場合もあるでしょう。もちろん逆に需要が低迷するリスクもあります。

利回りの考え方を理解する

土地活用方法について専門の事業会社などに見積もりを依頼した際は、楽観的な数値が提示される場合があります。
最終的にリスクを負うのは、オーナーです。表面的な利回りに惑わされず、入居率・稼働率を現実的に見通してから利回りを計算するなど、リスクと利回りの期待値を正しく評価してください。

資金を用意しておく

土地活用にかかるすべての費用をローンでまかなうのは、借入金額が大きくなりリスクも高まりやすくなります。返済が長期化すると支払う利息も増えるためです。
土地活用をするためには、少なくとも初期費用の2〜3割は自己資金を用意しましょう。

入居率や稼働率をシビアに想定する

アパートやマンションの入居率や店舗設備の稼働率を厳しめに想定しましょう。理想は入居率100%ですが、どれほどの人気物件でも空室リスクはつきもので、築年数とともに人気が下がることを考慮すると入居率100%の想定は現実的ではありません。
入居率が下がらない対策を考えることは重要ですが、計画の段階ではシビアに想定し、現実的な利回りを算出しましょう。

利回りのみで判断しない

利回りが高くても、土地活用の方法として適切とは限りません。利回りが高いように見えても、賃料の設定が高く入居者が見つからないことや建造物の修繕費が想定より高くなり、予測した収益が得られないこともあるでしょう。
利回りのみで判断しないように、正しい土地活用の利回りを見極めるための知識や情報量が必要不可欠です。

まとめ

この記事では、土地活用の利回りの定義や計算方法、相場、注意点などを解説しました。
利回りは土地活用を始める際の大切な判断材料ですが、数値だけで判断することは危険です。土地活用ごとの相場を把握し、利回りの計算方法についても理解できるようにしましょう。

※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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