TOP 投資豆知識 中小企業向けの節税対策とは?節税の必要性や注意点についても徹底解説

中小企業向けの節税対策とは?
節税の必要性や注意点についても徹底解説

掲載日 : 2022年12月27日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
中小企業が経営を安定させるためには、利益を出すだけではなく、適切な節税対策を行うことが重要です。
とはいえ具体的な節税方法がわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中小企業にかかる税金の種類や節税対策、節税の注意点などを解説します。
税金の詳細は 国税庁東京都主税局の情報をご確認ください。

この記事で分かること

・企業の存続・発展のためには、適切な節税対策を行って事業資金を確保することが重要

中小企業が節税する必要性

中小企業が納めるべき税金のなかには、一定条件を満たすことで減額、あるいは免除されるものがあります。
一般的に中小企業は大企業と比較して資金繰りが難しく、税負担に苦労する場合もあるため、効果的な節税対策によって事業資金を確保することが重要です。
毎年安定して利益を出し続けられるとは限りません。利益が多いときに適切な節税対策を行うことは、経営の安定化にもつながるでしょう。
ただし、行き過ぎた節税はかえって会社の経営状況を悪化させてしまう恐れがあります。国や自治体から適切な節税について指導を受けることは難しく、効果的な節税を行うには自ら正しい知識を身につけることが大切です。

中小企業が支払う主な税金の種類

適切な節税対策を行うためには、税金に関する知識を深めることが重要です。
ここでは中小企業に対して課せられる主な税金について解説します。

法人税

法人税とは法人の所得に対して課せられる国税です。
現在、法人税の税率は23.2%と定められています。
とくに規模の小さい中小企業には、特例として年所得800万円以下の部分に対して15%の軽減税率が適用されます。
中小企業が負担する税金のなかでも大きな割合を占めており、その分節税対策により軽減できる可能性があります。

法人住民税

法人住民税とは、会社を登記している都道府県や市町村に対して納める地方税です。平成26年の消費税増税時に、地域間での税収の偏りをなくすために導入されました。
法人住民税の算出方法は法人税割と均等割から構成されており、税率は自治体によって異なります。
法人税割額の課税基準は法人税の金額、均等割の課税基準は資本金や従業員数です。
均等割部分は法人の所得にかかわらず課せられるため、たとえ赤字でも支払う義務があることを覚えておきましょう。

法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業そのものに課せられる地方税です。
法人が事業活動を行うために利用する地方団体の行政サービスに対して、必要経費を負担すべきという考え方に基づいて課税されます。
法人事業税の算出方法には次に示す4種類があり、税率は法人の種類や資本金額、年所得額などで変動します。

・付加価値割
・資本割
・所得割
・収入割

法人住民税と異なり、適用される課税標準が所得割のみの場合、赤字決算なら課税されません。

特別法人事業税

特別法人事業税は、法人事業税の一部を分離して導入されました。国税である特別法人事業税を各都道府県に再分配することで、地方間の税収の偏りを是正する目的があります。令和元年10月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
法人の種類によって税率が異なるので各都道府県に確認してください。

消費税・地方消費税

企業は、消費者から預かった消費税を国に納めなければなりません。
すべての法人が納税する必要はなく、2年前(基準期間)における課税売上高が1,000万円を超える場合のみ納税義務が発生します。
新規設立で基準期間がない場合、資本金が1,000万円未満であれば、基本的に2年間は納税しなくてよいことになります。
ただし以下に該当する場合は、納税義務が生じることがあるので注意しましょう。

・2年目の半年間(特定期間)の課税売上高と給与支払額が、どちらも1,000万円を超えた場合
・増資して資本金が1,000万円以上になった場合

消費税の仕組みは少々複雑です。詳しくは国税庁公式サイトなどをご覧ください。

その他の税金

そのほかに中小企業に課せられる税金は以下の通りです。

税金の種類 内容
固定資産税 土地や建物など、有形減価償却資産となる固定資産に対して課せられる税金
登録免許税 権利の登記や資格の登録などの際にかかる税金
自動車税 自動車を保有している場合にかかる税金
印紙税 契約書や領収書など、一定の文書を作成する場合にかかる税金

業種によっては、今回ご紹介した以外にも支払うべき税金があるかもしれません。
自身の法人に該当する税金や詳しい税率、税額に関しては税理士へ相談することをおすすめします。

中小企業が検討すべき節税対策10選

具体的に中小企業が検討すべき節税対策を10個、紹介します。
主に「損金を増やす」「控除を活用する」ことで法人税の負担を軽減する方法です。
節税対策の方法に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

1. 役員報酬の見直し

役員報酬・賞与は基本的に全額を損金計上できるため、設定金額次第で節税効果が高まります。
損金に計上するためには以下の条件を満たす必要があるので注意しましょう。

<役員報酬>
・毎月同額を支給していること
・不相応に高額でないこと

<役員賞与>
・株主総会で決議されること
・「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署へ提出し、届け出た金額・支給日通りに支給すること

役員報酬・賞与には個人の所得税や住民税、社会保険料がかかるため、節税とのバランスを考えることが重要です。

2. 決算賞与を実施する

従業員に対する決算賞与も損金計上できます。
決算賞与とは業績に応じて決算月に支給する臨時ボーナスのことで、決算時に潤沢な利益が出た場合、従業員に還元することで節税にもつながります。
決算賞与を支給するメリットは以下の通りです。

・全額を損金として計上できる
・従業員のモチベーションにつながる

条件によって、決算時に未払いの賞与も今期の損金として計上できます。
手元の資金が減りすぎることのないように、余裕を持って支給額を検討するとよいでしょう。

3. 設備や人材に投資する

経営拡大のために設備や人材に投資することも節税対策につながります。「中小企業経営強化税制」を利用すれば、即時償却、あるいは税額控除を受けられる可能性があります。
たとえばコインランドリー機器のような設備投資にも、税制優遇が適用されるため、関心がある場合はぜひ検討してください。
人材への投資、つまり給与アップもひとつの手段です。中小企業が前年度より給与を上げる場合、「賃上げ促進税制」を利用すれば基本的に増加額の15%を法人税から控除できます。
従業員を増やす場合は「雇用促進税制度」によって、雇用者数の増加ひとりあたり40万円の税額控除を受けられる可能性があります。
過度な投資は資金繰りを圧迫する恐れがあるので、あくまでも必要投資に対して節税のメリットを受けるという意識を持ちましょう。

4. 固定資産を見直す

定期的に固定資産を見直すことも重要です。固定資産の使用を中止して帳簿から除くと(除却処理)帳簿上に残っている残高を損失計上できます。とくに購入価格の高いものは、節税効果が高まるでしょう。
現在使用していない資産に対しても基本的には固定資産税がかかるため、除却処理を行うことで固定資産税を減らすこともできます。
除却処理の漏れが発生しないよう、固定資産の状況を把握しておきましょう。

5. 出張旅費規程を策定する

出張が多い場合は、出張旅費を損金計上することで節税につながります。
法人の場合は交通費や宿泊費などの旅行代実費に加えて、旅費日当を損金に計上できます。日当が適正額であれば受け取る個人側は非課税となり、所得税や住民税がかかりません。さらに消費税の課税対象外なので、消費税の節税にもなります。
旅費日当を損金計上するためには、社内で「出張旅費規定」を作成するなど、一定の条件を満たす必要があるので注意しましょう。

6. 減価償却を利用する

企業に必要な資産を購入する場合、通常は減価償却を行い耐用年数に合わせて損金計上をします。
しかし、特例として中小企業に対しては少額減価償却資産という制度があり、30万円未満の減価償却資産であれば全額損金計上ができます。
青色申告をする中小企業が対象で、一事業年度につき合計300万円が限度です。
パソコンなど少額資産を購入する際に効果的なので、活用してください。

7. 中小企業向けの共済に加入する

中小企業向けの共済に加入すれば、万が一のリスクに備えながら節税できます。
加入できる代表的な共済は以下の3つです。

特徴
小規模企業共済 ・小規模企業の経営者や個人事業主が対象
・積み立てによる退職金制度
・掛け金を課税対象所得から控除できる
中小企業退職金共済 ・中小企業が対象
・積み立てによる退職金制度
・掛け金を損金計上できる
経営セーフティ共済 ・取引先事業者が倒産した際の保証
・掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入可能
・掛け金を損金計上できる

小規模企業共済は、厳密には法人ではなく経営者個人の節税手段です。
しかし、経営者自身の税負担を軽減し、老後に備えることは健全な会社経営に必要といえるでしょう。
中小企業退職金共済、経営セーフティ共済は掛け金を損金計上できます。
どの共済も節税しながら貯蓄、リスク回避できるメリットを受けられるので、加入を検討してください。

8. 売掛金を損失計上する

回収が困難な売掛金も、一定要件を満たしていれば貸倒損失として損失計上できます。
具体的には以下のような場合が挙げられます。

・法律などにより債権が切り捨てられた
・事実上債権の全額が回収不能となった
・一定期間、取引を停止した後に弁済がない

たとえば取引先が倒産した、督促を行ったが取引停止後1年以上支払いがない、といったケースが考えられます。
売掛金の回収に苦労する場合は放置せず、損失計上できないか確認してください。

9. 福利厚生を見直す

福利厚生費に計上できるものは、社員旅行やレクリエーション、健康診断の費用など多岐にわたります。
福利厚生費として認められるには、以下の条件を満たすことが必要です。

・社内規定を整備すること
・従業員全員が対象となっていること
・社会的に適当な額であること

福利厚生を見直すことで、節税対策だけでなく、社員のモチベーション向上にもつながる可能性があります。

10. 子会社・グループ会社を設立する

子会社・グループ会社を設立して利益を分散し、税制上のメリットが受けられます。
資本金1億円以下の中小企業なら、以下のような優遇が受けられる可能性があります。

・年間800万円以内の所得について、法人税に軽減税率15%が適用される
・年間800万円以内であれば交際費を全額損金計上できる
・消費税が免除される

ただし、節税目的で別会社を設立するのはおすすめできません。別会社に実態がなかったり、取引内容が不自然であれば、税務調査で指摘される可能性もあります。
子会社・グループ会社を設立する際は、事業拡大など節税以外の目的を明確にし、慎重に検討しましょう。

中小企業の節税で気をつけたいポイント

節税対策を行う際に注意すべきポイントをお伝えします。
誤った節税は資金繰りを悪化させたり、脱税を疑われたりするリスクを伴うので、会社を守るためにもぜひ押さえておきましょう。

不必要な購入や投資は避ける

会社経営の目的は節税ではなく、利益を上げて法人を存続・発展させることです。
不要な損金を増やすのではなく、あくまでも法人の利益となる資産の購入や投資を通して節税する意識を大切にしましょう。
過度な節税によって手元の資金がなくなると、不足の事態に対応できる財源が残らず、脆弱な経営体質になってしまう恐れがあります。
事業発展のための設備投資や共済への加入など、節税以外のメリットを得られる方法を選ぶとよいでしょう。

ペーパーカンパニーによる節税はしない

ペーパーカンパニーによる節税は、脱税とみなされるリスクを伴います。
ペーパーカンパニーとは、登記上設立されているものの事業活動の実態がない会社を指し、設立自体は違法に当たりません。
しかし、節税目的で実態のない法人を設立する行為は、法律の抜け穴を利用したグレーゾーンと考えられています。場合によっては税務調査の対象になる可能性があります。
今後、規制強化される可能性もあるため、ペーパーカンパニーによる節税は避けたほうがよいでしょう。

節税と脱税の違いをしっかり押さえる

企業の信頼を落とさないためにも、節税と脱税、租税回避の違いを押さえておきましょう。
「節税」とは定められた税法の範囲内で、合法的に税金の額を減らすことです。
たとえば必要経費を適切に計上したり、税額控除を利用したりといった方法が挙げられます。
一方で「脱税」は課税される要件を意図的に隠すことです。故意ではなくても、申告漏れがあれば脱税とみなされる可能性があります。
脱税に対する罰則は厳しく、場合によっては刑事罰の対象となってしまいます。
「租税回避」は脱税まではいかないものの、グレーな行為です。罪には問われませんが、税法が想定していない抜け穴を利用する方法なので避けるべきでしょう。
誤った節税を行わないためにも、不安なことがあれば税理士に相談してください。

まとめ

今回は、中小企業にかかる税金の種類や節税対策、節税の注意点などを解説しました。
企業の存続・発展のためには、適切な節税対策を行って事業資金を確保することが重要です。
大型コインランドリー機器トップシェアのTOSEIでは、コインランドリー開業のためのサポートを行っています。
優遇税制を利用した節税対策についてなど、定期的に無料セミナーを開催していますので、まずは一度ご参加ください。

※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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