TOP 投資豆知識 事業再構築補助金の採択事例を業種・分野別に紹介!申請ポイントも解説

事業再構築補助金の採択事例を業種・分野別に紹介!
申請ポイントも解説

掲載日 : 2022年12月27日

こんにちは。TOSEIライターチームです。
事業再構築補助金は、コロナ禍で業績が悪化した事業者を支援するためにあります。
補助金の採択には審査があり、すべての事業者が支援を受けられるわけではありません。
「申請が通る事業の内容は?」
「どんな事業を始めたらいい?」
このような疑問を解消するため、この記事では事業再構築補助金の採択事例を多数紹介します。
申請時のポイントもまとめていますので、事業計画作成の際の参考にしてください。

この記事で分かること

・事業再構築補助金の採択事例には「市場に将来性がある」「地域の特色を活かせている」「自社の強みを活かした取り組みである」といったことがポイント

・事業計画が不安な場合は専門家のアドバイスも参考にする

事業再構築補助金の目的

新型コロナウィルスの影響で業績が悪化し、売上の回復が難しい中小企業や小規模事業者を対象に、事業の再構築を支えるのが事業再構築補助金の目的です。
コロナ情勢に対応できる事業を支援することで、日本経済全体の好転を目指しています。

各枠の補助額と補助率

事業再構築補助金では、申請時の枠ごとに補助額・補助率が定められています。
以下の表にまとめました。
中小企業:(※)中小企業基本法に基づく
中堅企業:資本金10億円未満

申請枠 補助額 補助率
通常枠 従業員数20人以下 :100万円~2,000万円
従業員数21~50人 :100万円~4,000万円
従業員数51人~100人 :100万円~6,000万円
従業員数101人以上 :100万円~8,000万円
中小企業2/3(6,000万円超は1/2)
中堅企業1/2(4,000万円超は1/3)
大規模賃金引上枠 従業員数101人以上:8,000万円~1億円
中小企業2/3 (6,000万円超は1/2)
中堅企業1/2 (4,000万円超は1/3)
回復・再生応援枠 従業員数5人以下 :100万円~500万円
従業員数6~20人 :100万円~1,000万円
従業員数21人以上 :100万円~1,500万円
中小企業3/4
中堅企業2/3
最低賃金枠 従業員数5人以下 :100万円~500万円
従業員数6~20人 :100万円~1,000万円
従業員数21人以上 :100万円~1,500万円
中小企業3/4
中堅企業2/3
グリーン成長枠 中小企業:100万円~1億円
中堅企業:100万円~1.5億円
中小企業1/2
中堅企業1/3
緊急対策枠 従業員数5人以下 :100万円~1,000万円
従業員数6~20人 :100万円~2,000万円
従業員数21人~50人 :100万円~3,000万円
従業員数51人以上 :100万円~4,000万円
中小企業3/4
中堅企業2/3

(※)中小企業基本法が定める中小企業の定義

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

補助対象となる経費

事業拡大のための必要性・妥当性が高い経費が対象です。
以下の経費が補助対象にあたります。

・建物費
・機械装置・システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産権等関連経費
・広告宣伝・販売促進費
・研修費

以下の項目に関しては対象外のため注意しましょう。

・家賃、保証金、敷金などの事務所費用
・電話代、インターネット代などの通信費
・フランチャイズ加盟料
・商品の原材料費
・税理士・弁護士費用
・飲食・娯楽・接待費
・不動産・株式購入費
・人件費・旅費など

事業再構築補助金の採択結果

令和4年6月に締め切った第6回公募では、15,340件の応募がありました。
そのうちで採択されたのは、約半数にあたる7,669件です。
分野別で見ると、製造業、宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業の割合が高く、そのほかも幅広い業種で採択されています。

引用:事業再構築補助金事務局 事業再構築補助金 第6回公募の結果について

【業種別】事業再構築補助金の採択事例

業種ごとに、どのような事業計画が採択されているかをまとめました。
それぞれの特色を見ながら、事業計画を立てる際の参考にしてください。

小売業

・店舗販売と並行してオンラインストアを運営(アパレル・家具販売・化粧品メーカーなど)
・自社工場を活用し、介護用品分野にも展開(アパレル)
・無人販売機の設置やリモート受注システムによるコロナ情勢への適応(食品販売店)
・地域の生産者と連携しブース販売を開始(洋菓子販売店)

事例:
北海道/法人向け家具販売を行っている企業

・コロナ禍における在宅時間の延長に伴い、家具の個人向け販売を始めます。
・SNSを利用した販売促進活動で、ショールームやオンラインストアへの誘導を図っています。

サービス業

・貸スタジオ事業からオンライン教室へ事業転換(ヨガ教室)
・観光地の事業者が発信した情報から、顧客がプランを選べるシステムを構築(旅行会社)
・男性専用脱毛サロン事業を開始(美容サービス業)

事例:
茨城県/結婚式場を運営する企業

・地域にある老朽化した公共施設を利用し、新たに貸会場業を開始します。
・配信設備などを揃えて顧客の幅を広げ、地域活性化を目指します。

製造業

・既存の車部品製造と並行し新たにハイブリット車用の部品製造を開始(車用の部品メーカー)
・従来の製造技術を活かした、ロボットや医療機器の部品製造の事業を開始(航空機部品メーカー)
・定期的に野菜を届けられるサブスクリプションサービスの構築(農家)

事例:
岩手県/自動車部品の加工業を行う企業

・電動自転車用部品のめっき加工を始めます。
・従来もつ加工技術を活かした事業により、地域経済の活性化や雇用の拡大を図ります。

飲食

・コロナによる在宅サービス需要に合わせ、テイクアウト事業を開始(レストラン)
・レトルト食品の開発販売事業を開始(カフェ)
・オンライン注文システムによる、宅配やテイクアウト販売を開始(居酒屋)
・在宅サービス需要を受け、宅食サービスを高齢者向けに開始(弁当販売)

事例:
北海道/コロナの影響で閉店した和食店

・新規事業として製麺機を導入し、そば専門店としての事業転換、テイクアウト販売を行います。
・自宅でも楽しめる商品で、顧客の新規開拓を図ります。

【事業分野別】事業再構築補助金の採択事例

事業再構築補助金を申請する際は、事業が以下のいずれかの類型に当てはまる必要があります。

・新分野展開
・事業転換
・業種転換
・業態転換
・事業再編

それぞれの事例をまとめました。

新分野展開

新分野展開とは、事業者がメインの業種を変えることなく、新たな製品開発やサービス提供を行うことです。

<採択事例>
・車載機器製造を並行して、新たに医療用ライトの開発を開始
・半導体メーカーが、洋上風力発電部品の製造事業もスタート
・ホテルを運営する事業者がコワーキング施設を開設

事業転換

事業転換とは、事業者が主な業種を変えることなく、新たな商品開発やサービス提供を行うことです。

<採択事例>
・観光バス事業のノウハウを活かし、高齢者施設の送迎サービスを開始
・金属加工の技術を利用し、ロボット部品加工業へ転換
・飲食店向けの酒類販売業から自社製造のオーガニック食品販売業にリニューアル

業種転換

業種転換とは、新たな商品開発やサービス提供を行い、メインの業種を変えることを言います。

<採択事例>
・ビル管理の業者が、空気清浄機の製造業を新たに開始
・農業機器のリース事業から、ドローン操作の通信教育事業に着手
・食材の運送業者が、食材を活かしたレストラン運営に転換

業態転換

業態転換とは、取り扱う商品や提供サービスの内容を大きく変更することです。

<採択事例>
・集客イベントの企画会社が、ドローンやVRなどのシステムを利用したサービス提供事業に転換
・アパレル店舗運営をしていた事業者が、オンラインストアや注文システムによるオンライン販売へと転換
・美容室を運営していた事業者が、新たに高齢者向け訪問美容サービスを開始

事業再編

合併や株式交換といった組織再編行為を補助事業の開始後に行い、新たな体制のもと新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換のいずれかを行うことです。

<採択事例>
・製紙機械製造を行っている事業者が新設合併によりマスクなどの衛生製品の製造を開始
・食料品製造事業を他社に譲渡し、化粧品販売事業を開始

事業再構築補助金の申請における必須要件

事業再構築補助金の対象となるには、中小企業庁が定めている要件をすべて満たしている必要があります。
売上や事業内容についてなど、さまざまな要件があるのでひとつずつ確認しましょう。

1. 売上が減っていること

2020年4月以降の連続する6か月間のなかで、3か月の合計売上高がコロナ以前(2019年、2020年1~3月)と比べて10%以上減少している事業者が対象です。
または、2020年4月以降の連続する6か月間のうち、3か月の合計付加価値額が15%以上減少している事業者も対象となります。

※付加価値額とは
企業が行う生産活動で、新たに生み出された価値を数字に起こしたものです。
営業利益、人件費、減価償却費を足して算出します。

2. 事業再構築指針に沿った事業に取り組むこと

中小企業庁が掲げる事業再構築指針に則り、新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編のいずれかに取り組む事業者を対象としています。

3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること

「認定経営革新等支援機関」と呼ばれる国の認定を受けた機関の支援を受け、事業計画を立てるのも条件のひとつです。
補助金の採択後も、5年にわたって経営状況などの年次報告が必須です。報告の対象期間中は、支援機関からのアドバイスを受けながら事業計画を修正していきます。
補助の金額が3,000万円を超える場合は、事業計画の作成に金融機関も参加しなければなりません。
事業計画の内容は、以下の水準を満たす必要があります。

・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均3.0%以上増加
・従業員一人当たり付加価値額の年平均3.0%以上増加

4. 通常枠以外はそれぞれの条件も満たすこと

事業再構築補助金には、以下の6つの申請枠があります。

・通常枠
・大規模賃金引上枠
・回復・再生応援枠
・最適賃金枠
・グリーン成長枠
・緊急対策枠

通常枠以外は個別の必須要件がありますので、申請時には確認が必要です。

事業再構築補助金の採択事例からみる申請のポイント

事業再構築補助金事務局では、事業計画作成時の注意点や審査項目を公表しています。
申請する際は以下のポイントに注意し、漏れのない事業計画であるか確認しましょう。

事業環境や市場ニーズを捉える

市場の規模が大きいか、事業内容に需要があるかは、申請時の重要なポイントです。経済産業省が公開している「統計分析ツール」などを利用しながら、市場内での展望を示せる事業計画を作成しましょう。
環境やニーズを正しく分析し、事業の売上見込みやペースをわかりやすくまとめるのが大切です。

地域貢献できる事業にする

採択事例の内容から、地域の特性を活かした事業計画も採択されやすいと言えます。公募要領にも地域経済の活性化や雇用拡大につながる事業は加点対象であると記載されています。
計画作成時は、地域貢献が見込める部分がないかしっかりと確認しましょう。

自社のコア事業を活かす

自社がもつ人材・技術・ノウハウといった強みを活かした事業内容であることも、採択における重要な加点ポイントです。
既存事業と補助事業との相性を考え、生産性をどれほど上げられる事業計画なのかを正確にまとめましょう。

まとめ

事業再構築補助金の採択事例には、以下のポイントがあります。

・市場に将来性がある
・地域の特色を活かせている
・自社の強みを活かした取り組みである

申請時の枠や対象となる経費も参考にしながら、補助を受けられる事業計画の作成に役立ててください。事業計画が不安な場合は専門家の話を聞いてみるのもひとつの手です。
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※当記事の内容は、時勢に合わせた情報を元に編集しておりますが、時間の経過により情報が古くなる場合がございますのでご了承ください。
又、各記事詳細につきましては、各専門家へお問い合わせいただきますようお願いいたします。

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